なにもかも想像を超える規模の畑とエッセンシャルオイルの蒸留所(2)

■ホースの接続

 

収穫したクラリセージ9トンを満載にしたコンテナは蒸留所に運ばれ、直径20僂らいあるホース2本がつながれます。1本は水蒸気吸入用、もう1本は回収用です。

 

水蒸気を注入するホース。

 

コンテナを洗浄するときに噴出した「水蒸気」。人間が前にいたら立てないくらいの勢いがあります。

 

 

この蒸留所では30分かけて水蒸気をコンテナに充満させ、1時間蒸らします。蒸留所は熱気に包まれており、コンテナは触れないほど熱くなるため近づけません。

 

 

 

 

 

 

 

 

■冷却から精油の取り出し

 

精油を含んだ水蒸気は、ホースを伝い外部にあるステンレスで出来たらせん状の冷却システムに運ばれ冷やされます。外部から霧状の水を当て続けることで気化熱を利用し、100度から42度程度まで一気に冷却させます。冷やされた水蒸気は精油を含んだ液体となり、室内にあるタンクに集められます。タンクの中の様子は動画でご覧ください。

 

 

 

 

なお、動画の中でプラスチックの白いタンクが映し出されますが、出荷しないフローラルウォーターを蓄えておりポンプでくみ上げ、冷却水として再利用されています。

 

 

タンクの上部にはエッセンシャルオイル、底部にはフローラルウォーターがくっきり層のように分かれていました。これは、エッセンシャルオイルが水よりも軽いため浮くためです。私は、どのように精油をタンクから取り出すのか疑問に思っていましたが、タンクにホースが直付けされており、精油の層が取り出し口から上になったらコックを開けて取り出すという極めて原始的な方法に大変びっくりしました。

 

 

 

 

 

 

エッセンシャルオイルがある程度たまると、コックを開けて精油用の容器に移し替えます。

 

 

フローラルウォーターを保管、出荷する容器がないので尋ねたところ、「ローズ、ネロリ、ラベンダーなどと違いクラリセージウォーターへの需要が高くないので、この蒸留所では冷却システムの冷却水として再利用している」とのことでした。なお、コンテナの中に残されているクラリセージは肥料として販売・再利用されるそうです。

 

 

このクラリセージの蒸留は約1週間ほど続き、この後はラヴァンディンの蒸留に移るそうです。なお、蒸留する精油を変えるときは、高温の蒸気を1時間程度通し洗浄を行うそうです。

 

 

このようにクラリセージの収穫からエッセンシャルオイルの蒸留を見てきましたが、いかがでしたか?写真では伝わりにくいのですが作業に携わる人数は5人程度と極めて少なく、機械化により効率よくエッセンシャルオイルが蒸留されていました。使用する水の量、装置の大きさは想像を大きく超えるものですが、これは先進国フランスだからこそ出来るのであり、途上国の蒸留風景は大きく変わります。フランスのような人件費や税金が高い先進国でエッセンシャルオイルを蒸留するためには、効率を上げて規模を大きくする必要があるようです。

 

 

 

 

生産者の方はとてもフランクでいろいろなことを教えてくれました。この方は約20エーカー(東京ドーム1.5個分)の土地でクラリセージの他に麦やトウモロコシなども栽培しています。山林で食用作物の栽培が難しいところでクラリセージを栽培し、ラヴァンディンや付加価値の高いヘリクリサムも栽培しています。

 

 

ラヴァンディン。この畑では植えたばかりで収穫するまでにあと数年はかかります。

 

こちらも植えたばかりのヘリクリサム。

 

麦畑も広い。

 

 

生産者の方はとてもフランクでいろいろなことを教えてくれました。この方は約20エーカー(東京ドーム1.5個分)の土地でクラリセージの他に麦やトウモロコシなども栽培しています。山林で食用作物の栽培が難しいところでクラリセージを栽培し、ラヴァンディンや付加価値の高いヘリクリサムも栽培しています。

 

私がお邪魔した時に生産者の方はご家族を呼んでくださり、みんなで一緒にお昼ご飯を頂きました。蒸留所でピクニック。私には忘れられない思い出になりました。

 

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なにもかも想像を超える規模の畑とエッセンシャルオイルの蒸留所(1)

■ クラリセージの収穫

 

 

突然目の前に現れたクラリセージ畑は車で走っても走っても続いています。

画質が悪くて申し訳ございません。クラリセージ畑の広さは感じていただけると思います。

 

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クラリセージの畑は主要な道路からそれて、車がやっと通れるような山道(草むら)を激しい揺れを伴いながら延々と進むとやっと見えてきました。とても普通の車では行けず、タイヤが太いピックアップトラックに乗り換えました。坂道は急で標高はおよそ700m前後です。車を止めて外へ降りましたが足場が不安定で立つことも間々なりません。

 

 

これは序の口、今後ますますひどくなります。

 

東京ドーム○○個分で表現したくなるほど広い畑

 

 

そもそも、オーガニック認証を取得するためにはいくつかの基準があります。近隣で農薬を使用している畑がないこと、遺伝子組み換え作物を栽培している畑などがないこと等厳しい基準を満たすためには、このように人間から隔離された自然に近い環境で作物を栽培する必要があるようです。

 

 

 

 

クラリセージの畑は広大で、この畑があちこちに広がっています。まだ生き生きとしているクラリセージの花を触ると油のようなものが手に付着しました。この畑は数日後に刈り取り作業を行うようです。

 

花に触るとすぐに油が付着します

平らに見えますが、踏ん張っていないとそのまま下がっていってしまうほど急な斜面です。

 

 

違う畑に移動をすると、大型の重機が爆音をとどろかせながら作業をしていました。人間の背丈ほどあるタイヤが大地を踏みしめ、乾燥させたクラリセージを刈り込んでいきます。クラリセージの抽出部位は「全草」。花と茎、葉を同時に刈り込み蒸留を行います。刈り取られたクラリセージはそのまま数km先にある蒸留所に運ばれます。

 

 

日本では見ないサイズの重機で、刈り取りと裁断を同時に行い後ろのコンテナに送り込みます。

 

 

収穫作業はひとりです。

 

 

このコンテナのまま蒸留所へ移動します。

 

 

■ 蒸留所に到着

 

蒸留所は山の中にありますが、太陽光パネルを備えていました。

 

 

蒸留所には2通りあり、この生産者のように専用の蒸留施設を持っている場合もあれば、小規模な生産者は他社に蒸留を「委託」します。「蒸留器」自体はシンプルな構造ですが、それに付随する設備(給水、加熱)は設置、メンテナンスにお金がかかりそうですのでひとつの生産者が全てを賄うことはとても大変なことだと思いました。そもそも、蒸留は昔からある方法なので今でも「水蒸気を窯に送り込んであとはちょろちょろ」等と考えていただけに、このような大規模設備を伴って蒸留をしていることにとても驚きました。

 

 

左が蒸留器、奥がボイラー

 

 

蒸留に使用する地下水を貯めておくタンク

 

 

蒸留所には2台のトラクターが蒸留作業を行っていました。植物を積載したコンテナに直接蒸気を送り込み「窯」を働きをする「直接蒸留」という方法でクラリセージやラベンダー、ラヴァンディンを蒸留するそうです。コンテナの中身を見せてもらいました。

 

 

 

 

 

コンテナの大きさが分かります。これは9トン用。

 

 

水蒸気が出てくる底部のパイプ。

 

 

穴が開いています。

 

 

ボイラーから延びるホース。

 

 

加圧しているためホースは頑丈です。

 

 

コンテナの底には4,5本のパイプが通っており、パイプには穴が開いています。このパイプから出た蒸気が植物から精油成分を取り出します。コンテナには9トンタイプと13トンタイプの2種類があり、それぞれ3トン前後(3,000リットル)の水から生まれた水蒸気を圧力をかけて一気にコンテナの中に送り込みます。一気にコンテナ内の温度をあげないと効率よく精油を抽出できないだけでなく、植物が傷んでしまい精油の質が下がってしまうからだそうです。

 

水蒸気を加える時間はおよそ30分、その後1時間放置しいよいよ精油の蒸留が始まります。

 

 

■ 蒸留までのまとめ

 

クラリセージを収穫したトラックは収穫後すぐに蒸留所へ移動。

蒸留所は近代的で大規模な装置を備える。

1度の蒸留で使用する植物の量は9トンもしくは13トン。

蒸留所ではすぐにホースを接続し、約3トンの水蒸気を圧力をかけながら一気に注入。

蒸留に使用する水は地下水。

30分間蒸気を注入し、60分放置。その後蒸留作業。

 

次回は精油の取り出しを動画と共に見ていきましょう!

 

 

 

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10年越し エッセンシャルオイル蒸留行程見学への思い

日本アロマ環境協会が販売する「精油物語」というDVDを見て、いつか自分もその現場に立ち会いたいと思っていました。アロマテラピーの仕事を本格的に初めて10年以上が経過しましたが、エッセンシャルオイルの蒸留風景をこの目で見たことは一度もありません。それは見たことがないと言うよりも「見ることが難しい」といった方が正しいかもしれません。なぜなら

 

・エッセンシャルオイルの蒸留は発展途上国の山中で行われていることが多く、アクセスや言語の壁が大きいこと。

・生産者は蒸留所や農場を不特定多数の人に公開することを嫌うこと。

・植物の開花や蒸留のタイミングはその年により異なるため事前の日程調整が難しいこと。

 

などがあります。裏を返せば「生産者と頻繁に情報交換が出来る強い結びつきや蒸留所をオープンに出来る程の信頼関係がないと海外でエッセンシャルオイルの蒸留を見ることは出来ない」といっても過言ではありません。観光客を対象に蒸留所を公開している生産者をインターネットで見つけることは出来ますが、そうではなく自分が販売しているエッセンシャルオイルがどのように作られているかを知ることが、お客様により自信を持ってメドウズをお届けする上で必要不可欠なことと考えていました。

 

2018年3月にダーリン・ペインにこのことを相談をしました。すると彼は「蒸留期間が比較的長く、アクセスや言語の壁が低いフランスのクラリセージ、ラヴァンディンの生産者に聞いてみる」と快諾をしてくれました。そしてこの生産者を2018年7月に訪問することが決まったのです。

 

今年は日本でも豪雨や熱波に悩まされていますが、それはヨーロッパでも一緒で6月までほぼ毎日のように雨が降っていたと言います。いっこうに晴れ間がなく、来る日も来る日も雨模様。ハーブの生育も遅れ気味で、もしかしたら私がフランスを訪れる7月の蒸留が遅れるのではとの話もありました。念願のエッセンシャルオイルの蒸留風景をこの目に焼き付ける絶好のチャンスが自分のスケジュールとピッタリ重なるかとても不安でした。

 

青空が広がる夏のプロヴァンス地方

 

 

6月以降は雨も上がり、毎日乾燥した晴れの天気が続き予定より10日くらい遅れたものの、私が蒸留所を訪れる7月20日にはいずれかの作物を蒸留する予定と聞いたときは本当にうれしかったです。

 

以前から弊社が大変お世話になっている株式会社彩生舎様とともにフランスのその他のメーカー様を訪れる仕事もあり、高まる期待を胸に7月9日羽田空港からフランスパリを経由してマルセイユに向かいました。

 

 

水戸からは羽田も成田もアクセスが良くとても助かります。

今回は羽田発パリ行きの飛行機でほぼほぼ満席でした。

 

 

彩生舎様は7月17日帰国の途に就くためその前日の16日に、ダーリン・ペインは600厠イ譴疹貊蠅らはるばる車でやってきました。途中激しい雷雨があり運転も間々ならなかったそうですが、疲れを一つも見せず元気な姿を1年ぶりに見かけとてもうれしくなりました。16日の夕食は彩生舎の西村社長とおふたりの従業員の方と共に、5人で夕食を共にしました。

※日付が前後してしまいますが、彩生舎様との滞在期間中も大きな発見の連続でした。後日この場でご紹介させてください。

 

ダーリン・ペインと彩生舎の西村社長。

ダーリンは自分でブレンドを考えたオリジナルの香水をひとりひとりにおみやげで持ってきてくれました。

 

 

いよいよ蒸留所見学の日を迎えます。蒸留所が近くなると私たちを迎えてくれたものはどこまでもどこまでも広がるクラリセージでした。

 

 

 

 

 

私の想像とは少し違う蒸留所はクラリセージの甘い香りで包まれていましたが、長くなってきましたので蒸留所の様子は次回のブログでご案内いたします。